公開:2022.09.11 01:03 | 更新: 2022.09.11 04:03
高い品質を持ち確かな信頼を勝ち得ているブランドに特別な思いを抱いている人も少なくありません。ブランドの有無は商品選びに大きな影響を与えるため、市場ではブランドマーケティングが高い注目を集めています。ブランドを構築することは、展開する商品やサービスのイメージアップ以外にも企業そのものに好意的な印象を与える効果も期待できます。
他の競合企業との差別化をするためにも高い効果を発揮するでしょう。しかしブランドというのは、特定の商品のことを指すのではなく不可視なイメージのようなものです。消費者が抱く感情が鍵となるブランドマーケティングを始めるにあたって、まずは何をするべきなのでしょうか?今回はブランドマーケティングに成功した企業を例に挙げて、効果的なブランドマーケティングをするにはどうしたら良いのかについて解説いたします。
ブランドマーケティングの解説の前に、まずは切っても切り離せないブランドとブランディングについて解説致します。ブランドとは、企業が他の競合企業との差別化をするために欠かすことができない戦略の一つです。顧客が商品や提供するサービス、企業そのものに対する持つイメージがあり、時には商品そのものの価値よりも重要な意味を持つ場合もあります。
ブランディングとは、企業が展開するブランド商品やサービスなどを展開する企業の事業戦略の一つです。ブランドマーケティングを始める前にブランディングを正しく解釈する必要があります。企業が持つコンセプトを明確にすることでより多くのユーザーに「私たちがどんな企業なのか」「自社ブランドのコンセプトは何か」についての理解を深めてもらうことを「ブランティング(brandhing)」と呼びます。
ブランディングはブランドマーケティングと似て非なるものではあるものの、その関係性はとても深くブランド形成を確固たるものにするために必要な活動全般を指します。マーケティング活動そのものの規範とも言えるでしょう。適したブランディングをした上でブランドマーケティングを行わなければ、方向性を決めることも優れた商品やサービスを顧客に提供することもままなりません。
また適したブランディングをすることで、自社ブランドに対して顧客に特別な愛着や感情を抱いてもらうことが可能になります。自社ブランドにしかない特別なコンセプトを明確にし発信することによって、はじめてブランディングが成り立つのです。企業全体を対象とするブランディングは、特徴的な企業ロゴやイメージ、ブランドストーリーを掲げていることが特徴です。
では、ブランドマーケティングとはどういったものなのでしょうか?ブランドマーケティングに明確な定義は実は存在しません。そもそもマーケティングとは、異形が中心となって自社ブランドの商品やサービスの質を上げ、より高い利益アップを目的としています。
これに対しブランドマーケティングの目的は、従来の企業中心の目線から外れ、消費者の目線が重要視されることです。どれだけ企業側が質の改善を試みても、消費者のニーズに寄り添っていなければ商品が売れることは難しいと言えます。商品やサービスは、あくまで生活をより豊かにする要素の一つでしかありません。このブランドの商品をどうしても欲しいと思ってもらえるのならば、価格は大した障害ではないのです。
実際に従来のマーケティングでは、多様化する消費者のニーズに応えることが難しくなっています。そこで大切になるのは、今までの企業中心の目線ではなく実際に生活をして商品やサービスを利用している消費者のニーズをより把握することになります。ブランドマーケティングは、そんな企業が展開する商品やサービスのブランドの魅力を最大限にするために不可欠なマーケティング方法です。また顧客の認知度を高めるため、ブランド設計はもちろん実行、評価、分析といった活動も行う必要があります。
消費者が同じ品質・デザインの商品を選ぶ際、まず間違いなく知名度のあるブランドのものを選ぶでしょう。ブランドがあるということは、「この商品ならまず間違いない」という安心感を得られるからです。より良い品質を兼ね備えていればブランドは必要ないという考えもあるにはありますが、無名の商品を選び取るよりも確かな信頼を獲得しているブランドの方が遥かに選ばれる確率が上がります。
現代の市場は、日々変化しています。消費者が商品を選ぶ時の視点や買いたいと思うきっかけもテレビCMからSNSやWebサイトなどに移行してきているのが現状です。従来のマーケティングでは限界があると言われている今の市場で生き残るには、消費者との信頼関係を構築することが大切だと言われています。ブランドを構築することで利益を上げるには、手厚いアフターサービスも充実する必要があります。ブランディングによって企業の価値そのものが上がれば、広告費に多額の費用を割かなくても話題になることも珍しくありません。
ブランドマーケティングには、特徴があります。最大の特徴は、競合企業と明確な差別化ができるという点です。企業が持つコンセプトやテーマはさまざまです。商品を売る際に市場にライバルがいないという状況は、商品やサービスを提供する企業側にとって願ってもない状況と言えます。ブランドのイメージが良ければ、企業イメージの良さにもつながるため広告による認知向上を促すことも期待できるのです。
また、無形に対しての価値を重視することができるのもブランドマーケティングの特徴の一つです。「創業100年」「全て手作り」「巧みな職人技」というのは、ブランドマーケティングでよく用いられる要素の一つです。実際にそれらのフレーズを耳にした顧客は、商品に対して信頼感を抱きます。ブランドと消費者を結びつける重要な要素でもあるので、ブランドマーケティングを進めるにあたって不可欠といえるでしょう。ブランドの人気が高まれば、強気な価格戦略も可能になります。
ブランドマーケティングは、独自のアプローチ方法を取る必要があります。ブランドは目には見えない顧客との結びつきを重視するからです。実際にブランドマーケティングを成功させるにあたって行うべき戦略アプローチにはどんなものがあるのでしょうか?
新しい価値とは、私たち消費者が未だ手にしたことがない物のことです。揺るぎないブランドマーケティングをするためには、未だこの世にない新商品やサービスの提供をすることが大切です。既存の商品やサービスはライバルが多く、実際に利用する消費者も分断されてしまいます。自社ブランドにしかないイメージを確立させることで、根強いリピーターや消費者との信頼関係を確かなものにすることが可能になります。
この世にない価値を持つ商品の開発は、決して簡単ではありません。そこで次に大切になるのが消費者が持つ潜在的なニーズへの刺激です。たとえ提供する商品が同じであっても、ブランドマーケティングをすることで新たな価値やニーズを満たすことが可能になります。同じ商品でもリサーチやアプローチが違えば、市場に出回ったことが無かった価値やニーズを彫り起こすことができるのです。
ブランドは、物理的な商品自体ではなく消費者の感情とリンクしているものです。大切なのは、自由な発想力です。全く違う視点から考えた時、斬新な発想とプロデュースによってこれまでにない全く新しいものを提供することができるでしょう。
ブランドマーケティングをする上で、自社ブランドの商品やサービスについてきちんと把握することが何よりも重要です。特に強固なブランドにするためには、機能的価値と心理的価値の差別化を重視するべきです。自社ブランドの商品やサービスについて把握していないことがあるのはおすすめできません。機能的価値とは、具体的に販路や販売価格、性能の高さなどの物質的価値を指します。商品やサービスを正しく理解し客観的な視点から把握することが、ブランドマーケティングを成功させる第一歩と言えます。
反対に心理的価値とは、企業や商品に対するイメージのことです。心理的価値が良いものほど顧客に与えるイメージも良いので、集客アップを見込めます。どんなに機能性が良くてもイメージが悪い商品では、消費者は手に取ろうとは思いません。心理的価値は、意図的に作り上げる必要があります。機能性価値と心理的価値は、二つで一つと言っても過言ではないのです。
まだまだ知名度の低いブランドは、沢山の人の目に触れて知ってもらう必要があります。今や宣伝効果が高いのは、テレビのCMではなくSNSやWeb広告、メディアなどが中心です。より多くの人々に自社ブランドを知ってもらい、ブランドイメージに共感して売り上げにつなげられるようにするにはブランドメッセージを発信し情緒的なつながりを構築することが何よりも重要です。
ブランドの関連性を強調するために、現在の主要トレンドやニュース、イベントを検討しメディアやSNSを用いた広告を有効に活用することがブランドマーケティングを成功させるために必要な戦略アプローチの一つと言えます。またSNSは顧客の生の声が届きやすいというメリットもあります。データを分析し戦略に反映させることで、今後のブランドマーケティングの改善に役立てることが可能です。
日本国内だけでもさまざまなブランドが名を連ねていますが、中でも長期的な利益を出しているブランドは他企業とのコラボレーション販促を積極的に行っているという特徴があります。コラボレーション販促は、コラボ先のファンを自社ブランドに引き込んだり広告効果以上に話題になったりするケースが多いからです。
新規ファンの獲得もできるコラボですが、実はブランドを若返らせる効果があると注目を集めています。今まで接点がなかったブランド同士がコラボすることで、未知の世界を開拓することができるのです。定期的にコラボをすることでファンは新しい商品を楽しむことができますし、今までのブランドイメージにはなかった全く新しい価値を見出すことが可能になります。これからも長く愛されるブランドとなるためには、コラボは必要なメソッドなのです。
ブランドマーケティングは実際の消費者に重点を置き、価格や機能だけでなくイメージなどの価値も重視すべきだと解説させていただきました。では実際にブランドマーケティングを行うことで、企業はどんなメリットを得られるのでしょうか?
ブランドマーケティングが成功すればするほど知名度と良いブランドイメージが拡散されやすくなります。知名度が上がれば上がるほど莫大な広告費を投じて宣伝をする必要がなくなるので、新規顧客の獲得がしやすくなるでしょう。対費用効果も上がるため、コスト面でも効率の良い利益を得ることが可能になります。
ブランドマーケティングは、顧客のロイヤリティ向上も期待できます。ロイヤリティとは、消費者が企業や商品に対して信頼感や愛着を抱いている状態を指します。ブランドマーケティングには、ブランドロイヤリティというものがあります。ブランドロイヤリティとは、ブランドに対する好意的なイメージのことです。リピート率と混同されやすいという特徴がありますが、完全に似て非なるものです。ロイヤリティは、認知度の高さと比例する傾向があります。ロイヤリティが向上すれば、消費者に「次も利用したい」と思ってもらえることが期待できます。
ブランドマーケティングは、他の競合企業が展開するブランドとの差別化をすることも可能です。そのためには他の企業の商品・サービスにはない特徴を消費者に分かりやすい形でアピールする必要があります。
例えば、スマートフォンを展開する企業の中でも高いシェアを誇るのがAppleとAndroidです。中でもさまざまなAndroidスマホがある中で、一際別格の存在感を持っているのがSONYが開発したXperiaシリーズです。多種多様な製品を日夜開発・販売しているSONYは、カメラやテレビの性能も抜きんでています。Xperiaシリーズのスマートフォンには、SONYが長年培ってきた技術が集約されています。他のスマートフォンにはない魅力を兼ね備えているためリピーターも多く、消費者が求めるニーズがマッチしているのです。
差別化が成功すれば、売上アップにも効果があります。ファンを作ることができれば、顧客の帰属意識を高めることもできるのです。
ブランドマーケティングは、競合企業と差別化ができるため価格競争方の脱却が可能になります。そもそも価格競争とは、価格の安さで競合他社と顧客の取り合いをする行為です。価格競争が起きる原因の一つに、商品やサービスの差別化が難しい場合が挙げられます。似たような品質の商品が並べば、顧客は安い方に手を伸ばすでしょう。ブランディングがなされているブランドの商品は、そのブランドに揺るがない魅力があるため他の商品との差別化が既にされている状態です。価格競争から脱却できる理由は、目に見えない商品価値のおかげなのです。
ブランドマーケティングは、良いブランドイメージから根強いリピーターを確保することが可能になるので継続的な利益の確保が可能になります。ブランドイメージが崩れない限り、ファンとなった顧客は離れにくいため長期にわたっての利益確保ができるようになるのです。また今後似たような商品やサービスが他社かから提供されたとしても、ブランドの魅力があれば価格競争に負けることは少ないと言えます。
ブランドは、顧客がブランドイメージに抱く信頼や愛着が鍵です。ブランドロイヤリティが高ければ、価格の優位性に関係なく利益を出すことができます。ブランドロイヤリティは、たとえ価格が他の競合企業の商品よりも高くても顧客から「このブランドの商品が良い」と思ってもらえるからです。価格の安さだけ売りだしている場合は、確かにリピーターは確保できるかもしれません。しかし同じ品質を持ちながらもっと安価な商品が出回った途端そちらにリピーターが流れてしまう可能性があるのです。
またロイヤリティの中でも、企業や商品・サービスに対して愛着や信頼を寄せている状態を「顧客ロイヤリティ」と呼びます。ブランドだけでなく企業全体に好意的な感情を抱いていることを意味するので、ブランドマーケティングに置いて重視すべき要素です。顧客ロイヤリティが高ければ高い程、企業はもちろん商品やサービスに対しても良いイメージを持つようになるのでリピーターや売り上げアップにつながります。
ブランドマーケティングを成功させるためには、デメリットもあることを知っておくともしもの時に柔軟に対処することができます。企業側にメリットの多いブランドマーケティングですが、ブランドイメージを一度完成させてしまうとその後のイメージ変更が難しいという特徴があります。
ブランドは多くのファンを作ることによって、安定した長期的な利益を生むことができます。コロコロとブランドイメージを変更させてしまうと、ファンがついて行けずどんどん離れて行ってしまう原因になってしまうのです。古参のファンの中には、少なからず初期からひいきにしていたというプライドがあります。方向性が変わり一度離れれば、戻すことは難しいのです。かといって、トレンドが移り変わる現代で初期に構築したブランドイメージを保つことは大変です。万が一リブランディングする際は、細心の注意が必要になるでしょう。
他の競合企業との差別化をしようと、多くの企業が自社のブランドイメージを形作ろうとしています。マーケティング市場において重要な存在となったブランドマーケティングですが、実際の成功例にはどのような企業があるのでしょうか?誰もが聞いたことのある企業を例に解説致します。
ブランドマーケティングの中でも注目されている花王も成功例として挙げられることの多い企業です。花王と言えば、国内でもトップクラスの大手企業です。洗剤やヘルスケアなどの科学系メーカーであり、洗剤ブランドである「アタック」は知らない人を探す方が難しいと言えるほどの人気商品です。その歴史は、30年にもなります。そんな花王は、長年日本の環境に合った商品開発をしてきた企業です。P&Gなどの他のメーカーと比べて海外進出が遅れているものの、国内市場を第一に考えている姿勢を貫いているのは紛れもない事実です。
花王はブランドマーケティングの戦略として、実際に洗剤などの商品を利用している顧客の声を聞くことを重視しています。最近では消費者の行動の変化に順応するべく、CMによる宣伝からデジタルマーケティングに力を入れています。かつてはテストマーケティングだったアタックやヘルシア緑茶は消費者が求めるニーズを的確に見出した結果、現在ではどちらもヒット商品となりました。今でこそ当たり前ですが、アタックは洗剤の効果はそのままに当時の洗剤のサイズを1/4の大きさにまで縮め、内臓脂肪を減らすことに着目したヘルシア緑茶の発売は当時誰も考えもしなかったアイデアだったのです。消費者の声を実際に聞き、潜在的なニーズを掘り起こすことに成功例と言えます。
花王と同じく洗剤などを中心に開発・販売しているP&Gは、花王とは違い海外進出も積極的に行っている外資系企業です。P&Gは、ブランド名を聞かなくてもP&Gの商品だと分かるブランドが数多くあります。もちろんP&Gの企業名は有名なため、好意的なイメージを抱いている消費者が多いのも特徴です。
P&Gの商品といえばアリエール・ボールド・レノアなどの洗剤系、h&s・パンテーンなどのシャンプー・リンス系、SKⅡやブラウン・パンパースなど性別や世代問わずたくさんの商品ブランドを挙げることができます。ここまで企業名を入れない理由が、仮に1つの商品が炎上し不買運動につながっても他の商品にまで飛び火してしまうのを防ぐためと言われています。また他企業を合併・買収をした時に備えて、消費者を混乱させないよう商品名のみをアピールしているとも言われています。
P&Gは、製品の質の良さはもちろん人種差別や不平等の是正など社会問題にも取り組む姿勢を見せている企業です。世界的に見ても大企業であるP&Gは消費者に対する強い影響力を持ちます。今後の姿勢も注目されており、消費者から信頼も厚い企業でもあるのです。
ブランドといえば、特徴的なコンセプトを強みにしている企業がほとんどですが無印良品は例外と言えるでしょう。ブランドマーケティングの成功例のお手本とまで言われる無印良品は、国内外問わずそのシンプルなデザインと使い勝手の良い品質が魅力のブランドです。無印良品の商品は全てシンプルなデザインなため、世代問わずどんなインテリアにも合うというのが特徴です。
一見シンプルさを追求した無印良品の商品は全て、統一性のあるデザインコンセプトに基づいたデザインが採用されています。無印良品の驚くべきポイントは、誰もが手に取りやすいデザインからターゲットをあえて絞り込むこと必要はないという点です。これまでのブランドマーケティングの常識をひっくり返した無印良品のブランドコンセプトは”「これがいい」ではなく「これでいい」”です。お客様に寄り添った姿勢は、高く評価され企業イメージのアップにも貢献しています。
今までにないデザインのパソコン、スマートフォン、タブレットなどを次々に発表しリピーターはもちろん多くのファンを獲得しているAppleもブランドマーケティングを成功に導いた企業の一つです。洗練されたお洒落なデザインは、実際に使用する消費者にお洒落なイメージを抱かせます。専門のカスタマサービスを設置することでロイヤリティのアップにも高い効果を発揮しています。
Appleは、他の企業の差別化を図る戦略の一つとしてApple製品のみを揃えた店舗を全世界に展開しています。Apple製品に関する質問にはどんなことでも答えられる専門のスタッフが在籍しているAppleは、どこまでも消費者に寄り添ったサービスと製品の提供を徹底させていることが分かります。絶大な支持と信頼の獲得で、揺るぎないブランドまでのし上がったと言っても過言ではありません。
ブランドマーケティングにおいて世界的な規模で大成功を収めてるのが、世代問わず愛されているウォルト・ディズニー・カンパニーです。創業100年の歴史があるディズニーは、沢山の人に夢を届けてくれる存在として世界中の人々から愛されています。ディズニーのブランドマーケティングでは競合企業との差別化の戦略の一つが、スタッフの呼び名です。
ディズニーでは、スタッフを「キャスト」と呼びお客様のどんな質問や要望にも応えられるように徹底的な管理と教育がなされています。ロイヤリティの向上はもちろん、絶大な信頼を抱くには十分なほどの徹底ぶりです。また夢が壊れないよう、ディズニーキャラクターを演じる演者の仕草や立ち位置は計算しつくされた位置で披露されます。魅力を守るためのこだわりが非常に強く、他の企業には絶対にない魅力があるからこそブランドマーケティングの成功例と言えるでしょう。
ブランドマーケティングは、成功すれば利益アップや新規顧客の獲得など多大な効果を生みます。けれど、忘れてはならないのがブランドマーケティングを成功させるためには時間が必要という点です。企業や商品・サービスに対する良いイメージというのは一朝一夕でどうにかなるものではありません。
どんな商品・サービスに対しても悪いイメージの方が広まりやすいため、時間をかけて信頼できるブランドイメージを作り上げていかなければいけません。少しずつ積み上げ続けたブランドイメージはやがて、大きな効果を発揮するでしょう。
実際にブランドマーケティングをするとなれば、まずは自社のイメージや何を象徴しているのかをきちんと理解しなければなりません。では、ブランドマーケティング戦略で大切なポイントにはどんなものがあるのでしょうか?
ブランドマーケティングを始めるにあたり、企業が構築するブランドのコンセプトを決定しなければなりません。これを「ブランド・アイデンティティ」と言います。最初にブランドがきちんと確立していなければ、仮にブランドマーケティングを始めても方向性が定まらない上に明確な目的や統一性もないため標準が定まりません。市場を混乱させるばかりでなく、ファンが定着しにくいため安定が難しいと言えるでしょう。
など自社に対する基本的なことを追求するだけでもブランドの方向性を合理的に考えることが可能になります。企業理念や強みをよく理解することで、競合企業との差別化をすることにもつながるのです。
自社ブランドに合ったブランドマーケティングは、長期化する程に強いブランドへと成長します。できるだけ長く安定した利益を得るためには、長期化に備えた目標に基づいてブランドマーケティング戦略を進めていくことも重要です。具体例を挙げるのならば、トップシェアの獲得や海外市場への進出などが長期的な目標と言えるでしょう。
ブランドマーケティングをするためには、ターゲット層の特定も重要な要素です。ターゲットを決める際、架空の理想の顧客のプロフィールを作り市場を研究しなければなりません。この顧客のプロフィールのことを「ペルソナ」と呼びます。
ペルソナのデータを利用することでブランドマーケティングの施策や戦略、方向性の選択の幅を狭めることが可能になります。ターゲット層は、ブランドをアピールするための市場そのものと言っても過言ではありません。徹底したリサーチと分析が重要です。
ブランドを展開する際、デザイン・世界観・ロゴ・スタイル・配色・フォント・キャッチフレーズなどのさまざまな要素を全て統一させなければなりません。目で見てわかるものだけでなく、カスタマーサービスなども全て統一する必要があります。これは、ブランドの認知向上のために不可欠なことです。統一性のないブランドは、受け入れられることはまずありません。
一貫性を持たせることは、言うよりもずっと難しいことです。企業の規模が大きくなればなるほど統一性を持たせるのは大変です。そこで役立つのが、ブランドガイドラインの作成です。ブランドガイドラインは、企業に勤務する社員が例外なく守らなければいけないブランドのルールが記載された取り扱い説明書です。ロゴ・デザイン・配色・メッセージなどが記載されているため、取引先といった外部の社員とやり取りをする時にも重宝されます。
ブランドの確立ができたのなら、宣伝をしなければなりません。どんなに美しく洗練されたブランドでも最初は無名に等しいものです。たくさんの顧客の目に止まりファンを獲得するためには、効果的な宣伝が不可欠になります。効果的なプロモーションやメディアでの宣伝を行うことで、たくさんの消費者に認知されるようになるでしょう。特徴的なロゴやデザイン・配色・キャッチコピーを決めておけば、印象に残りやすくブランドイメージが心に残りやすくなります。
確立したブランドイメージに賛同したファンは、いわば同志のような存在です。ブランドの価値やイメージに共感し特別な感情を抱いているため、未来を一緒に担う存在と言っても過言ではありません。真の顧客のことを「ブランド・パートナー」と呼びます。企業ブランドの商品やサービスが長く顧客に愛されるようにするためには今後も価値を明確にし、安定した提供をし続けることが重要です。
ブランドマーケティングは瞬間的な利益は得られないものの長期的に行うことで、やがて大きな利益を生み出す存在になります。企業側のメリットも多く、企業の信頼につながることが期待できるでしょう。ブランドマーケティングは、何よりも顧客の満足度や信頼が大切です。統一性のあるブランドを展開することで、安定したシェア拡大をすることができます。そのためにはブランドマーケティングを成功させるために適切な戦略アプローチの計画を練る必要があります。自社企業のコンセプトや顧客へのメリットを理解することで、ブランドマーケティングを成功に導き安定した収益につなげることが可能になるのです。
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