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    公開:2022.10.02 12:31 | 更新: 2022.10.18 02:01

    サービスマーケティングって?特徴や7Pについてご紹介

    サービスマーケティングは、マーケティングの中でも目に見えず触ることもできない「サービス」に特化したマーケティングです。近年どんな商売でもサービスをどう扱うかが大事になってきました。しかしただサービスをすれば、顧客が満足するわけではありません。実際に利用する顧客のニーズに応えた自社ブランドの商品・サービスの企画や流通やパフォーマンスを強化などがないと、効果的とは言えないからです。それには、サービスマーケティングのフレームワークである7Pの概念を理解することが不可欠になります。今回はサービスマーケティングを7Pの概念、そして成功例も交えて解説致します。サービスマーケティングをしっかりと理解することで、効率的かつ効果的なサービスを展開できるようになります。

    サービスマーケティングとは

    サービスマーケティングについての会議

    一昔前は車や宝石、家電などの形がある商品が、市場の中心でした。しかし1970年頃から、形がない情報や金融、飲食業、旅行業などの分野が注目され始めました。こうしたサービスを扱う業種の「サービス業」は今や日本の経済を支える柱の一つと言っても過言ではありません。たとえサービス業に分類される業種でなかったとしても、商売は会社と顧客の関りが切っても切り離せない関係にあります。それは、病院や薬局といった場所でさえ、会計や薬の受け渡しで顧客との接点があるからです。近年の日本において、顧客との接点に注目したマーケティングは必要不可欠と言えます。競合企業との差別化を図るためにも顧客との接点を重視した営業活動を大切にするべきなのです。

    サービスマーケティングの基礎知識

    より良いサービスを受けて笑顔になる女性たち

    マーケティングは顧客のデータを分析し、自社ブランドの商品やサービスの売り上げアップや認知向上のために取り組むものです。しかし、サービスは目に見えないことに加え非常に曖昧なものです。日本でビジネスをするにあたって、絶対に無視できない「サービス」ですが、ただサービスを提供すれば良いわけではありません。大切なのは、「顧客に対するサービス」を提供することなのです。

    「目に見えない」は、数値化できないため試行錯誤が必須になるでしょう。顧客に対するサービスと言えば、一番に思い浮かぶのはやはり接客の態度です。しかしサービスには、顧客に対するサービスそのものと商品に付くおまけ(オプション)を指すサービスの2種類があります。

    サービスマーケティングの特性

    サービス業

    では、サービスマーケティングの「サービス」とはどういったものなのでしょうか?サービス独特の特性には、下記の要素が挙げられます。

    ・無形体非有形体性

    ・不可分性・同時性

    ・消滅性・非貯蔵性

    ・異質性・変動性

    では、それぞれのサービスの特性を解説致します。

    無形体・非有形体性

    製品とは違い、そもそもサービスには形がありません。無形であるため、見たり触ったり味見をしたりすることが不可能です。そこでサービスを商品とする際、顧客にサービス内容を実感してもらうことが大切です。たとえば、美容室のHPなどでカット事例やカラーリングやパーマの施術をした後の写真の公開などが挙げられます。顧客の中で具体的な実感が湧けば、顧客の興味・関心をひくことができます。

    不可分性・同時性

    サービスは提供するタイミングと顧客がサービスを享受する場面が切っても切り離せません。提供と享受が同時に行われなければ、サービスは成り立たないからです。そのため、サービスの質そのものを上げたり顧客との良好な信頼関係を構築したりする必要があります。また顧客が利用するサービスをより良いものにするためには、時間や場所、人員などの物理的な問題をできるだけクリアにしなければなりません。

    対策として以下の方法が考えられます。

    ・繁忙期などに合わせて期間限定のパート・アルバイトを雇い入れる

    ・多くの顧客に対応できるマニュアルなどを構築する

    ・オンライン授業を取り入れて、一度に多くの生徒にレッスンを提供できるようにする

    ・レッスン内容を録画・保存することで、より多くの人が利用しやすい環境づくりを行う

    消滅性・非貯蔵性

    サービスは形がないため物としての形が残せないという特徴があります。また貯蔵をすることもできません。サービスは保管などができない特性から、必ず売り切ることが重要になります。たとえば、コンサートのチケットは再販などができないため、例外なく当日中までに売り切らなければいけません。ホテルのお部屋も繁忙期に合わせて人手を確保したり閑散期にはキャンペーンなどを開催して人を呼び込む工夫が必要になります。サービス商材を扱う際は需要と供給を適切に管理し、需要が多い時はそれに合わせて供給量を増やし逆に需要が少ない場合は供給量を少なくさせることが大切です。

    異質性・変動性

    サービスは、提供する人やタイミングによってその価値が変化します。時間・曜日・季節などで需要も変動するため、常に同じ品質や価値をキープするのは極めて困難です。美容院や料理店であれば対応してくれる人によってスキルに差がありますし、使用する道具や消耗品の質によっても微妙に品質に差が生じます。しかしどんな状況でもお客様である顧客は、いつでも同じクオリティのサービスを提供できなければ満足してもらうことは難しいと言えるでしょう。マニュアルの徹底、業務フローの見直し、最新の情報のアップデートなどを徹底することで、どんな時でも同じ品質のサービスを提供できるように工夫することが大切です。

    サービスマーケティングのフレームワークである7Pとは

    7Pの重要性を理解している人

    サービスは、品質だけではなく顧客目線で求められていることを追求することが大切です。サービスマーケティングには、サービスマーケティング専門のフレームワークである7Pが使われます。「サービスマーケティングミックス」とも呼ばれ、ベースは現代マーケティングの第一人者とも呼ばれるコトラーの4Pに、サービスに特化した3Pが付け加えられたものです。まずは基本的な4Pについて解説致します。

    基本の4P

    商品を購入する消費者

    4Pとは、サービスマーケティングだけでなくマーケティング全体の根幹にかかわるフレームワークです。今後企業がどう立ち回るのかのフレームワークとして、とても重要な役割を担います。サービスマーケティングは、1つの視点だけで進めると戦略が偏ってしまう恐れがあります。4つの視点から公平に情報の分析と検討をすることで、より効果的なサービス・商品のPRや改善点を発見することが可能になるのです。では、具体的に4Pの概念とはどういったものなのでしょうか?

    商品・製品・サービス(Product)

    顧客にアピールすることで積極的に利用してもらえる自社ブランドの商品・サービスが無ければ、利益やリピーターの確保は難しいと言えます。商品やサービスをまず開発するにあたって大切なのが、「顧客が求める商品」を研究・企画し世に送り出すことです。日本には、数えきれないくらいの商品やサービスが出回っています。企業側が「販売したい商品」を企画しても顧客が求めるものでなければ、ヒットは難しいと言えるでしょう。ヒットするサービス商材を販売するためにも、顧客が求め役立つサービスを企画しなければなりません。

    価格・プライシング(Price)

    サービスを提供する際、企業と顧客が互いに納得がいく価格設定をしなければなりません。競合企業との価格競争に勝利するためには、低価格でサービスや商品を提供することが重要になります。しかしどれだけヒット商品になったとしても、コストがかかり過ぎて思う以上に利益がでなければ企業側にとって失敗になるでしょう。確かな品質への信頼を勝ち得た商品なら、多少高い価格設定をしてもファンやリピーターの獲得が見込めます。また企業のブランドに対してロイヤリティや信頼が高ければ、競合企業との価格競争から脱出することも可能になります。

    流通・チャネル(Place)

    流通とは、サービスや商品が「どこで」「どのように」顧客に届くまでの流通経路を指します。サービスマーケティングを進める上で、サービスを提供する場所の立地やチャネル(流通経路)はもちろん、提供するまでの時間や手段を決めるのはとても重要です。時間や手間がかかりすぎると、顧客の購買意欲は低下してしまう恐れがあるからです。家族向けのサービスであれば、立地や大人も子どもも楽しめるのかが重要になります。コロナ禍の今、自宅にいながら受けられるヨガ口座やオンライン授業が人気を集めています。ネット環境が充実している現代で、サービスをいかに手軽に受けられるのかも重要な課題と言えるでしょう。

    販促・プロモーション(Promotion)

    どんなに良いサービスや商品でも、まず顧客の目に止まったり利用したいと思えたりする情報を発信できなければ意味がありません。サービス商材に関しても、効果的な販促やプロモーションは不可欠になります。サービスの魅力をうまく発信し拡散されれば、幅広い認知にもつながります。具体的な発信方法は、Twitterを始めとするSNS、ネット広告、チラシ、店頭看板、公式HP、プッシュ通知、DMなどが挙げられます。サービスによってより効果のある発信方法を模索することが大切です。また、販促方法の一つにインフルエンサーとのコラボが挙げられます。SNSで話題になれば、多くに人にサービスを試してみたいと思ってもらえるでしょう。

    サービス特化した3Pとは

    より良い関係の企業と消費者のイメージ

    3Pとは、4Pに加えられたサービスに特化したフレームワークです。サービスマーケティングを進める上でなくてはならない要素となります。では、具体的にどのような特性を持っているのでしょうか?それぞれの特徴をご紹介致します。

    人(People)

    「人」ではなく、「参加者」や「要員」とされることもあります。サービスを提供する場の環境や雰囲気を構築する人的要因のことです。サービスを提供する企業の社員はもちろん、派遣社員、パート、アルバイトも含まれます。サービスを実際に受ける顧客は、同じ店内にいる人々の雰囲気やどういった動きをしているのかを想像以上によく見ています。例えば、落ち着きのあるバーやカフェなのに賑やかで騒々しい人が働いていれば、せっかくの雰囲気が壊れてしまうでしょう。反対に居酒屋は賑やかな雰囲気の方が明るく活気があったほうが楽しむことができます。サービスは人が提供することが多く、人の印象でサービスの印象が決まってしまうのです。

    プロセス(Process)

    プロセスとは、顧客にサービスが行き届くまでの方法及び効率の向上とブランド体験の向上の2つに大別できます。ハイクオリティなサービスを提供するためには、さまざまな改善や効率化が求められます。たとえばマクドナルドは、全てのスタッフがつけているバッジでどんな業務ができるのかできないのかを一目で判断できるようにすることで、役割分担をし、顧客にハイスピードな商品の提供を可能にしています。素早い連携で顧客に商品が届くまでの時間を短縮し、効率化の向上を図っているのです。

    またブランド体験の向上とは、待ち時間をいかに楽しく過ごせるかの工夫を指します。病院内や施設内でキッズスペースを設置したり、来店してくださったお客様に待ち時間の間お茶やお菓子などを提供をすることも待ち時間を快適に過ごせるようになる工夫の一つでしょう。ハイクオリティなサービスを提供するには、「効率の向上」と「ブランド体験の向上」に力を注ぐことが大切です。

    物的証拠(Physical Evidence)

    サービスを提供する上で大切なのが、顧客にとって安心・安全保障を確約することです。サービスは、形に残る物ではありません。安全を保障するためには、契約書や保証書で可視化させることが大切です。確かな安全性を顧客にアピールするために、マクドナルドは、提供する食材の情報をYouTube動画で紹介しています。食品の生産から流通・販売までをクリアにすることで、顧客は安心安全な物的証拠を得られるのです。

    マクドナルドが提供する食材情報を発信している動画

    サービスは、実体験した顧客の記憶によって印象が変わります。より良い印象を鮮明に残すためには、サービスとは別に何らかの仕掛けやアクションを起こすことが大切です。例えば、ディズニーランドではスタッフのことを「キャスト」と呼んだりパフォーマンスに一貫性を持たせるなどして他のテーマパークとの差別化を図っています。従業員の制服を統一し来場者を出迎えるだけでも、印象が全く違ってくるものです。サービスの一貫性と統一性は、記憶に残りやすい傾向があります。意識して作り上げていくことが大切です。

    物理的な環境も、サービスに影響を与える

    雰囲気に合ったサービスを提供するカフェ

    人的要因だけではく、「環境」もサービスには不可欠です。ウーバーイーツや宅配サービスが充実している現代では、お家でも気軽にお店と同じクオリティの食事を楽しむことができます。コロナ禍で外出が思う以上にできなくなった今、宅飲みなど「家で食べても店でも食べてもあまり変わらない」という考えを持つ人も増えてきました。しかし、実際に実店舗で食事やサービスを楽しむのと家で楽しむのとでは、雰囲気が全く違ってきます。実店舗では、非日常的な空間やサービスを享受することができるからです。このように物理的な環境の変化の有無は、サービスの印象や質に多大な影響を及ぼしやすいと言えるでしょう。

    4Pと連携が強いマーケティングの3C

    3Cを分析することの大切さのイメージ

    サービスマーケティングを行う上で、7Pは無視できないフレームワークです。その中でも4Pにさらなる効果をもたらすために連携が強い3Cを分析することで、より高い効果が期待できます。3Cで把握した情報や事実を踏まえ、自社の商品・サービスを「何を(商品)・いくらで(価格)・どこで(流通)・どのようにして(販促)売るのか」を決めなければいけません。では3Cにはそれぞれどんな特性があるのでしょうか?

    顧客分析(Customer)

    顧客分析とは、自社の商品やサービスを利用する既存顧客と潜在顧客の情報を洗い出し、年齢・性別・住んでいる地域・家族構成などから市場価値や市場の将来性などを分析します。ターゲットの年齢などによってアプローチ方法は変化させる必要があります。

    自社分析(Company)

    自社分析では、売上高や市場シェア・収益率・技術力・人的資源を分析することで、自社が持つ強みと弱みを探ります。自社分析では、一般的にSWOT分析という手法が好んで使われています。SWOT分析とは、以下の言葉の頭文字を取ったものです。

    ・Strength(強み)

    ・Weakness(弱み)

    ・Opportunity(機会)

    ・Threat(脅威)

    自社の内部環境(内的要因)と外部環境(外的要因)の両方の分析から導き出します。強みだけでは、危機的状況に陥った際十分な対処ができない可能性があります。弱みを強みにするためにも、SWOT分析が必要なのです。

    競合分析(Competitor)

    競合分析では、競合の売上・営業利益・コスト・広告宣伝費用などの数値結果と、それらが導き出された理由(リソース)を調査します。市場分析と競合分析も行うことで、今後自社がどのような手を打つのかを模索することができるのです。市場はものすごいスピードで変化しています。市場の変化と競合の変化を把握し、どのような対策が取れるのかが重要なのです。

    4Pと対になる4C

    4Cの分析

    サービスマーケティングにおいて、4Pが企業側に不可欠なフレームワークなら4Cは顧客側のフレームワークになります。どんな商売も企業側のメリットや目的ばかりを強調しては、さらなる利益やリピーターの獲得は望めません。では、4Pの対とも言うべき4Cにはどのようなものなのでしょうか?

    価値(Customer Value)

    価値とは、顧客が考える企業の商品やサービスの価値を指します。商品の品質だけでなくブランド力やパッケージ、ニーズが合っているか、商品やサービスを購入することでどのようなメリットがあるのかを考えます。

    コスト(Cost)

    コストとは、顧客が商品やサービスに支払うコストのことです。4PのPriceに当たり、手に入れるまでの労力や時間などを意味します。企業ではなく顧客側から見て妥当なコストであるかが重要です。顧客が商品・サービスに対してどれだけのコストをかけてくれるのかは、品質はもちろん手に入れるまでの交通費なども考えなければなりません。

    コミュニケーション(Communication)

    コミュニケ―ションは、4PのPromotionです。4Cでは企業側からのアプローチだけではなく、顧客側が求める情報をいかに伝えるのかが重要になります。企業と顧客との信頼関係を構築するためには、お得なクーポンの配布や情報の配信が不可欠です。良質な関係を築くためにも、4Cでは顧客から企業側へコミュニケーションに取る際の方法なども考えなければなりません。

    利便性(Convenience)

    利便性とは、顧客がいかに企業の商品やサービスなどを手に入れやすいのかについて考えます。4Pでは、Placeに当たります。直接実店舗まで赴くのなら、公共交通機関や車を使ったアクセスの良さが重要です。ターゲット層が住んでいる地域の特性や情報を入手することが大切になります。場所を選ばずいつでも購入ができるインターネットでの買い物は一見便利ではありますが、決済方法を充実させたりWebサイトのデザインや使いやすくしたいものにしたりするなども追及しなければなりません。

    サービスマーケティングの成功事例5選

    usj

    一般的なマーケティングとは違い、目に見えないサービスに特化したものがサービスマーケティングです。目には見えない価値に重きを見出すからこそ難しいと思われがちなサービスマーケティングですが、どのような成功事例があるのでしょうか?実際にサービスマーケティングで大成功を収めた企業を例に挙げてご紹介致します。

    1.ディズニーランド

    サービスマーケティングに成功した企業の中でもディズニーランドは別格です。まずディズニーランドの立地は日帰りができるよう都心に続くアクセスも、良好で半径50㎞以内に3,000万人以上の顧客層がいる場所に造られました。

    また他の企業と差をつけるためにスタッフを「キャスト」と呼んで区別し、お客様のどんな質問や要望に応えられるよう教育が徹底されています。各キャストは基本的に1年契約となっており、マンネリ防止や各自の役割を緊張感をもって完璧にこなせるように工夫が施されています。対応にいたっては、正社員もアルバイトも変わりません。キャラクターに扮するキャストの視線や立ち位置、振る舞い全てはマニュアル化されており、お客様のニーズに沿った完璧なサービスをいついかなる時も提供しています。トレードマークであるミッキーも「1人しかいない」というコンセプトが存在し、ファンタジーの中に一貫性を徹底させることでお客様に忘れられない感動を与えられるのです。

    ディズニーランドには夢がある、といったイメージを持つ顧客も少ないでしょう。どんな世代の人々が何度行っても、平等に楽しめる工夫と演出がディズニーランドにはあります。たとえば、現実の世界を思い出さないように荷物の搬入用のトラックは全て地下通路を通って届くように設計しているなどの徹底ぶりです。小さな子供や身体的にハンデを持っている方、高齢者にも配慮したサービスができる体制も整えてられています。

    2.USJ

    USJことユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、円安や不況などの影響で入場料が値上がりし続けているテーマパークの中でも衰えない入場者数を誇るサービスを提供しています。一時不況に陥ったUSJを救ったのは、「ハロウィン・ホラー・ナイト」で催されたゾンビイベントでした。ストレスを溜めやすい成人女性をメインターゲットにし、ゾンビが徘徊することで思い切り悲鳴を上げて逃げることで、普段味わえない爽快感や非日常感を体験できるようにと演出したのです。USJには、テーマパークはアトラクションの種類よりもアトラクションに乗った後の爽快感や思い出が何よりも大切という考えがあります。顧客の潜在的ニーズを的確に分析し、アプローチした成功例と言えるでしょう。

    「ハロウィーン・ホラー・ナイト」後も、USJは数々のイベントやアトラクションを企画し成功を収めています。魔法ファンタジーの名作であるハリー・ポッターの世界観をそのまま再現した「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」は450億円という莫大な予算を費やして2010年に完成しましたが、10年以上経った今でも高い人気を誇っています。2021年3月には、任天度とコラボした「スーパー・ニンテンドー・ワールド」がオープンしました。世代問わず大人も子供の楽しめるアトラクションとして、高い人気を誇っています。

    USJでは、ONE PIECE・名探偵コナン・エヴァンゲリオンなどの人気作品とコラボしたイベントも定期的に開催されています。広告もわくわくドキドキできる内容で制作されており、中に入った瞬間映画やアトラクションの世界を存分に堪能できる演出が目白押しです。何よりも価値がある思い出を作る場所として、USJは顧客目線で物事を見て分析するサービスマーケティングを実施しているのです。

    3.マクドナルド

    特徴的なブランドロゴと安価で提供されるまでが早いマクドナルドもサービスマーケティングの成功例と言えます。全世界に約40,000店舗もあるマクドナルドは、世界最大のファストフードチェーン店です。日本でも大人気のマクドナルドは大型の公園の近くや国道沿い、ショッピングモールの中など人の出入りが多く目に留まりやすい場所に多くの店舗を構えています。車に乗ったまま注文から支払い、受け取りまでが済むドライブスルーを利用している人も多いでしょう。

    手頃で食べやすいハンバーガーだけでなく、ポテト・シェイク・デザート・ハッピーセットなども充実しています。親子で楽しめるメニューが豊富なだけでなく、季節限定のメニュー展開も充実しているためいつ食べても飽きが来ない工夫がなされているのです。

    安さとスタッフの作業スピードによる提供の早さもマクドナルドの強みと言えますが、安価であっても絶対に質を落とさない点も顧客のロイヤリティや信頼の向上に効果があります。受け渡し時の「スマイル0円」の徹底も、爽やかさとブランドイメージに好意的な印象を残しリピーター確保につながるでしょう。正社員、アルバイト問わずお客様に対して平等なサービスを提供するために、教育も徹底されています。SNSを通じて定期的に魅力的な宣伝を行っているため、サービスマーケティングの良例の一つと言えるのです。

    4.スターバックス

    スターバックスも、日本で高い利用率を誇る企業です。出勤前やお昼の休憩時間に利用している人も多いのではないでしょう?実店舗を全国各地に構えるスターバックスの1号店は、アクセスが良く客層を選ぶ銀座に構えられました。スターバックスの店舗の場所を振り返ってみると、全て人通りが多く利用客の多い駅の構内やショッピングモールにあることがほとんどです。反対に庶民的なエリアにはほとんどないことから、スターバックスなりの出店場所のこだわりを感じられるでしょう。

    またスターバックスは、種類豊富なコーヒーやドリンクを提供していますが価格が競合企業よりも若干高めに設定されています。しかしトレンド志向や高級志向のある人にとって、値段の高さはロイヤリティの獲得につながります。むしろ品質と釣り合っていれば、より強固なブランドイメージにもつながるため企業に対する信頼はますます強固なものにすることが期待できます。さらに、ブランドイメージが確立されれば競合企業との差別化を図れますし、価格競争からの脱却も可能です。

    スターバックスは、コーヒーチェーン店の中でもプロモーションが優れている企業です。テレビCMなどの広告にはほとんど頼らず、店頭看板や口コミ・PRだけで今の知名度までに上り詰めました。定期的に販売されるフラペチーノの新商品や豊富なサイズもスターバックスならではの強みと言えるでしょう。アプリマーケティングの成功例としても挙げられることの多いスターバックスの公式アプリでは、顧客のロイヤリティがもちろん新規顧客の獲得などにも高い効果が出ています。

    5.H&M

    ハイブランドのデザインに似たお洒落な服飾を専門に取り扱う大手アパレル企業であるH&Mもサービスマーケティングの成功事例の一つです。若者に高い人気を誇るH&Mは、「ハイブランドの類似品を安価で手に入る」ことが大きな強みです。これは、わざわざ自社でデザインや製品設計をする必要がないため、時間やコストを割く必要がないことを意味しています。時間的に余裕があるので、移り変わりの激しいトレンドにも遅れることなく対応できるのです。

    また回転力の早さは自社工場を持たずマーケットや物流の流れを鑑みて、その都度契約している世界中のメーカーの中から最適なものを選び大量生産を行っています。 さらにH&Mの驚きの低価格は、輸送コストを削減することで成り立っています。似たコンセプトを掲げるZARAがコストがかかる空輸を利用して商品を仕入れていることに対し、H&Mは時間を要してもコストがそこまでかからない船便を用いて商品の仕入れを行っています。回転率ではZARAと比べていくらか遅れをとっているH&Mですが、早くからオンラインストアの販売に力を入れてきた企業としても有名です。

    海外ファッションが他の国や地域に届くまでのタイムラグを失くすために、オンラインストアは大きな効果を発揮しています。またH&Mは、ハイブランドを彷彿とさせるプロモーションも得意としています。広告・雑誌・PR・ファッションショー・コレクションなどを積極的に展開しており、そのクオリティはかなりの質の高さを誇ります。実店舗では手頃な価格で商品を販売しているので、顧客のロイヤリティの向上や購買意欲の刺激につながっているのです。

    まとめ

    マクドナルドを利用する人

    サービスマーケティングでは、競合企業と明確な差別化を図るためにも7Pのフレームワークを実践することが重要です。また自社側の情報を分析したり顧客視点から物事を客観的に見てニーズに応えることも大切になります。本来形の残らないサービスをヒットさせるためには、適したサービスマーケティング戦略を立てることが不可欠です。企業側の努力はもちろん、状況に応じて4Cや3Pも分析することで統一性や整合性を持たせることでより強く効果的な戦略になり得ます。しかしサービスマーケティングは、実際に始めても一朝一夕ですぐに効果が出るものではありません。地道な戦略とPRを繰り返すことで、時間とともに多くの顧客に愛されるサービスに成長するでしょう。

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