
マーケティングを業務委託するデメリットと課題|失敗しないための対策と委託先の選び方
公開:2024.02.27 18:33 | 更新: 2026.10.08 12:00
マーケティングを外部に業務委託すると、社内にいない専門性をすぐに使えるというメリットがあります。一方で、「ノウハウが社内に残らない」「成果が出ているのか判断できない」「思っていた進め方と違った」といった課題もよく起こります。
こうした課題の多くは、委託を始める前の準備と、委託先との役割分担で防げます。この記事では、マーケティングを業務委託するときに起きやすい7つの課題と対策、委託先の選び方、契約で確認すべき点を、発注する企業の立場から解説します。
委託先の種類と、社員採用との比較
マーケティングの委託先は、大きく広告代理店・支援会社とフリーランスに分かれ、それぞれ向き不向きがあります。社員を採用する場合と並べて比べてみます。
委託先 | 費用の考え方 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
広告代理店・支援会社 | 広告費に対する手数料、または月額の固定費 | 広告費が大きい、チームで対応してほしい | 担当者の経験に差がある。予算が小さいと受けてもらえないことも |
フリーランスのマーケター | 稼働時間×時間単価、または月額の固定費 | 特定の領域を即戦力に任せたい、少額から始めたい | 個人の力量に左右される。人材の見極めが必要 |
社員として採用 | 給与・社会保険などの固定費 | 長く続ける業務を、社内で育てたい | 採用に時間がかかる。合わなかったときの調整が難しい |
マーケティングを業務委託するメリット
- 専門性をすぐに使える:採用や育成を待たずに、経験のある人に任せられます
- 固定費を増やさずに始められる:必要な期間・必要な領域だけ依頼できます
- 新しい施策を試しやすい:どの施策が当たるか分からない段階でも、小さく始めて検証できます
このメリットを活かすためにも、次に挙げる課題を先に押さえておきましょう。
業務委託で起きやすい7つの課題と対策

1. ノウハウが社内に残らない
委託先に任せきりにすると、何をして成果が出たのかが社内に残らず、契約を終えたあとに何もできなくなります。
対策
- 広告アカウント、解析ツール、SNSアカウントは自社の名義でつくり、委託先には権限を付与する形にする
- 週次・月次のレポートに「数字」だけでなく「何を変えて、なぜそうしたか」を書いてもらう
- 施策の手順や判断の基準を、共有のドキュメントに残してもらう
2. 成果の良し悪しを判断できない
社内にマーケティングが分かる人がいないと、報告された数字がよいのか悪いのか判断できません。「順調です」という報告をそのまま受け取るしかなくなります。
対策
- 委託を始める前に、最終的なゴール(売上、問い合わせ件数など)と、そこにつながる指標(CPA、CVRなど)を委託先と一緒に決める
- 「いつまでに、どの数字が、どこまでいけば成功か」を最初に合意しておく
- 発注側の担当者も、基本的な指標の意味だけは押さえておく
3. 自社や商品を理解してもらうまでに時間がかかる
外部の人は、商品の強み、顧客の特徴、業界の事情を最初は知りません。立ち上がりの最初の1か月ほどは、思ったほど成果が出ないこともあります。
対策
- 商品資料、よくある質問、顧客の声、過去の施策と結果をまとめて最初に渡す
- 営業やカスタマーサポートの担当者と話す時間をつくる
- 最初の1か月は「理解と準備の期間」と位置づけ、期待値をそろえておく
4. 丸投げで目的がずれる
「とりあえず集客を」とだけ伝えて任せると、委託先は分かりやすい数字(アクセス数やフォロワー数など)を追いがちです。結果として、事業の成果につながらないことがあります。
対策
- 社内に窓口となる担当者を一人決め、判断や承認が止まらないようにする
- 定例の打ち合わせで、数字の報告だけでなく「次に何を試すか」まで話す
- 施策の優先順位は、委託先の提案を聞いたうえで社内が決める
5. 人材の見極めが難しい
経歴書だけでは、その人が実際にどこまで担当し、どんな成果を出してきたのか分かりにくいものです。
対策:面談では次のような点を聞いてみましょう。
- 過去の案件で、自分が担当した範囲はどこからどこまでか
- 改善した数字と、そのために何をしたか
- うまくいかなかった案件と、そのときどう対応したか
- 自社と近い業界・商材の経験はあるか
6. 情報管理のリスク
顧客データや売上の数字、新商品の情報など、社外に出したくない情報を共有することになります。
対策
- 業務委託契約とあわせて秘密保持契約(NDA)を結ぶ
- ツールの権限は業務に必要な範囲にとどめる
- 契約が終わったら、すぐに権限を削除する
7. 契約や法律の落とし穴
業務委託は雇用とは違うため、社員と同じように扱うと問題になることがあります。
- 指揮命令に注意:業務委託の相手に、勤務時間や作業の進め方を細かく指示すると、実態は雇用や派遣だと判断される(いわゆる偽装請負)おそれがあります。依頼するのは「成果」や「業務の範囲」にとどめましょう
- フリーランス法への対応:2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法により、フリーランス(従業員を使わない個人や、一人社長の法人)に業務を委託するときは、業務内容・報酬額・支払期日などの取引条件を書面やメールなどで明示する必要があります。さらに、従業員を使う発注事業者には、報酬を成果物などを受け取った日から60日以内に支払うこと、委託期間が6か月以上の場合は契約を途中で解除するときに原則30日前までに予告することなども求められます
委託を始める前のチェックリスト
- 委託する目的と、最終的なゴールの数字を決めた
- 社内の窓口担当者と、判断する人を決めた
- 広告・解析・SNSのアカウントは自社名義になっている
- 商品資料、顧客情報、過去の施策の結果をまとめた
- 報告の頻度と、報告に含める内容を決めた
- 秘密保持契約を結ぶ準備をした
- 取引条件(業務内容・報酬・支払期日・契約期間・解約条件)を書面にした
費用の考え方
マーケティングの業務委託の費用は、委託先の種類と契約の形で決まります。
- 広告代理店:広告費の一定割合を手数料とする形が多く、20%前後に設定している代理店がよく見られます
- フリーランス:月の稼働時間×時間単価(準委任契約)か、月額の固定費が一般的です。時間単価は経験や専門領域によって大きく変わります
- 成果報酬:問い合わせ1件あたりなどで支払う形もありますが、成果の定義や計測方法を細かく決めておく必要があります
広告費が小さいうちは、手数料型より、時間や月額で必要な業務だけを依頼したほうが費用を抑えやすい場合があります。フリーランスマーケターの費用感については「企業が知るべきフリーランスマーケターの相場」、広告運用の委託については「広告運用を業務委託で依頼したい方へ」もあわせてご覧ください。
委託先の探し方
- マーケティングに特化した人材サービス:求める人材の要件を一緒に整理してもらえるため、何を頼めばよいか分からない段階でも相談しやすい
- 知人や取引先からの紹介:人柄や仕事ぶりを事前に聞ける一方、候補が限られる
- クラウドソーシング:少額の単発業務は探しやすいが、戦略から任せられる人材は見極めが難しい
大切なのは、「経験が豊富な人ほどよい」と考えないことです。戦略から実行まで任せたいのか、記事の執筆だけを頼みたいのかで、必要な人材も費用も変わります。今の課題に合ったスキルを持つ人を選びましょう。
まとめ
マーケティングの業務委託で起きやすい課題は、ノウハウが残らない、成果を判断できない、自社理解に時間がかかる、目的がずれる、人材の見極めが難しい、情報管理、契約・法律の7つです。いずれも、始める前にゴールと役割分担を決め、アカウントと情報を自社で持ち、取引条件を書面にしておくことで、多くは防げます。
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